活動報告

【代表質問要旨】①令和2年度税収見通し及び令和3年度当初予算案について

鏡原

新型コロナウイルス感染症が発生して以降、我々の生活は大きく様変わりし、経済活動にも大きな影響が出ています。県内経済においても、主要企業の業績悪化の報道が見られ、またこの1年で有効求人倍率は約0.5ポイントも低下し、7年連続で900万人を超えていた県外観光客入込数も大幅な減少は必至であり、影響は非常に深刻であります。

その間、県においては、持続化応援給付金や雇用維持助成金など国の制度と合わせ上乗せ支援を行い、また、県独自に前向きに頑張る企業を応援する総合補助金を支給するなど、県内経済や雇用環境を下支えしてきました。しかし、限られた財源の中での応急措置的な対応であり、その効果はあくまで限定的なものであったように思います。

そこで心配になってくるのが、今年度の県税収入です。県の歳入の約4分の1を占める県税が大幅に減少しますと、財政運営には大きな影響を及ぼします。本県は景気変動の影響を受けにくい経済構造と言われてきましたが、この度のコロナ禍では企業活動の低迷や個人消費の落ち込みなどで、法人二税や地方消費税などの基幹税目を中心に、軒並み減収となることは避けられないと考えます。

そこで、本県の今年度の税収の状況と見通しについて、まず知事にお伺いいたします。

次に、今定例会に提案された来年度一般会計当初予算案についてでありますが、今年度予算と比べ約41億円の増、総額4,761億円余と4年連続の増加で、過去10年間では最大規模となっています。

 これは、新型コロナウイルス感染症対策の経費が大幅に増加したことが大きな要因と考えられます。今後も感染拡大の防止や医療提供体制の確保・充実は喫緊の重要課題であり、引き続き的確な対応が求められますので、その対策予算の増額はやむを得ないものと考えます。

しかし、その一方で、歳入面においては、先に述べましたとおり、県税収入が企業業績の急激な悪化や個人消費の低迷などから、今年度予算額と比べ105億円余も減少、その落ち込みを補う形で臨時財政対策債が大幅に増加するなど、財政構造の悪化は明らかであります。

また、財源不足を補うため、財源対策用基金である財政調整基金と県債管理基金を合わせて120億円余も取り崩すこととしており、その結果、当初予算後の残高見込みは11年ぶりに100億円を下回る見込みであり、厳しい財政運営を強いられる状況にあります。

加えて、令和元年度決算において49年ぶりに減少に転じた県債残高についても、臨時財政対策債の大幅増などで再び増加に逆戻りとなる見込みであり、持続可能な財政運営を常々訴えてきた我が会派としては、この状況を非常に懸念するところであります。

昨年11月に示された「中期財政概算見通し」によりますと、令和7年度までの今後5年間の試算では、新規重点枠予算の縮小などを内容とする「一層の対策」を講じても、なお127億円から265億円の財源不足が見込まれており、この令和3年度当初予算編成における財政健全化に向けた取組みが、とても重要になってくると考えます。

そこで、この度の当初予算編成において、コロナ禍の影響で厳しさを増す財政状況を踏まえ、どのように財政規律の確保を図ることとしたのか、また、何を抑え、何に重点を置いた予算編成としたのでしょうか。加えて、持続可能な財政運営に向けて、今後どういった取組みを行っていくお考えなのか、知事にお伺いいたします。

 

知事

今年度の本県の税収状況について、主要税目の先月末までの調定額は、前年所得への課税である個人県民税が約361億円、対前年比プラス2%、法人二税が約284億円、対前年比マイナス8.7%、税率引上げが平年度化した地方消費税が約260億円、対前年比は、今年度予算ではプラス19.0%を見込んでいるところ、プラス13.6%となっております。

 今年度の税収見通し全体については、現在、精査中でありますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、法人二税を中心として厳しい状況にあり、当初予算を割り込むことは避けられないものと考えております。来年度の当初予算編成においても、税収等の大幅な減少が見込まれ、一般財源総額の見通しが厳しい状況にある中、事務事業の見直しやスクラップ・アンド・ビルドの強化に全庁的に取り組み、117事業を廃止することとしたほか、私自ら先頭に立って、事業開始から3年以上経過した重点推進事業をゼロベースで見直した結果、令和3年度の見直し効果額は10億円余となったところであります。

 こうして確保した財源を喫緊の課題である、新型コロナウイルス感染症対策、ハード・ソフト両面からの防災・減災対策、感染症を契機とした社会変革の動きへの対応、また、若者に魅力のある働く場の創出、結婚・出産・子育て環境の一層の充実などの人口減少・活力向上対策に重点配分することで、効果的、効率的な予算となるよう意を用いました。

 一方で、議員御指摘のとおり、県税収入の大幅な減少は、臨時財政対策債の発行増大につながり、県債残高が再び増加に転じる見込みとなるとともに、財源不足に対応するため、財源対策用基金の取崩しを増加せざるを得ないなど、本県の財政状況は一層厳しさを増していると認識しております。

 このような状況を踏まえ、持続可能で安定的な財政運営を確保していくため、この度の予算編成にあたって、歳出面での見直しを積極的に行ったものでありますが、今後はこれまで以上に踏み込んだ取組みが不可欠であることから、歳入面も含め、県民生活や県内経済への影響等に留意しつつ、次期の財政運営指針を策定する中で、具体的取組みについて精査・検討してまいります。